主婦でも「退職金」がもらえる??【工藤FP】
2023.02.02
お金の豆知識
◆iDeCo(イデコ)の活用
iDeCo(個人型確定拠出年金)はNISAのように運用益が非課税制度などがあり、
老後資金作りをするためのお得な自分年金が準備できる国の制度です。
ただし受取時には「税金」がかかる場合があります。
iDeCoで運用した資産は、60歳から70歳までの間に
「一時金」・「年金」・「一時金と年金の併用」と受け取り方法を自分で選択できます。
◆iDeCoを活用して運用した場合の計算
たとえば、専業主婦Fさんが40歳~60歳まで掛金を毎月「1万円」を拠出をした場合、拠出額合計は「240万円」。
年利4%の利回りで運用できた場合、60歳時点で運用益は「126万7,746円」となります。
資産の合計は「366万7,746円」になり、ここから運用時にかかる手数料を引きます。
加入時の手数料「2,777円」、毎月の拠出時にも手数料がかかります。※金融機関により手数料は異なります。
仮に手数料が最低「167円」の20年分とすると、
合計は「4万2,857円」です。手数料を差し引くと資産合計は「362万4,889円」 になります。
◆受取方法による税金の違い
<一時金での受取の場合>
60歳で一括受け取り、運用次第では税金「ゼロ円」のこともあります。
一時金受け取りは税務上「退職所得」となり、優遇措置として「退職所得控除」が適用されるからです。
No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁 (nta.go.jp)
退職所得控除とは、会社員などが退職金を受け取った時にマイナスできる控除です。
退職金への課税額を計算する際に、勤続年数に応じた退職所得控除を給付額から控除します。
本来、専業主婦は会社員のように退職金を受け取ることはありません。
しかし、iDeCoの一時金受け取りには専業主婦でも退職所得控除を利用することができます。
その際にはiDeCoの加入年数を勤続年数と同様にカウントします。
課税退職所得金額=(収入金額<iDeCo一時金> — ※退職所得控除額)×1/2
<退職所得控除額の計算方法>
Fさんが60歳で一括受け取りした場合、一時金円に対して退職所得控除は「800万円(40万円×20年)」となり
マイナスしきれないので、課税退職所得金額は「ゼロ」です。つまり税金はかかりません。
ただし、嬉しいことに運用がとても上手く行き資産合計が800万円を超える場合には税金がかかることになります。
たとえば掛金上限23000円を拠出した場合、同じく利回り4%の運用では資産合計が
「839万6,646円」になり、運用手数料を引いても800万円を超えます。
課税所得金額が39万6,646円(839万6,646円—800万円)で試算するとFさんの所得税は1万9,832円(所得税率5%)です。
毎月の掛金や運用次第によって税金を納めることになることがわかります。
一時金と年金の併用
iDeCoの受け取りは「一時金」と「年金形式」の併用も可能です。
たとえば、運用が上手くいった際には資産総額が800万円を超える部分について年金受け取りにするのも一つの方法です。
ただし、税金がかかるということ以外に重要なことがあります。
それは、家計のキャッシュフローを長持ちさせることです。
たとえば会社員で60歳以後の収入減少があり家計が厳しいのであれば、
65歳の年金開始前までに「一時金」か「年金形式」、もしくは「併用」で受け取る選択肢あります。
ライフプランを通して家計の中での受け取り方を決め、そして納める税金ができるだけ、少ない方法を考えてみることも大切です。
※利回り計算は金融庁HP「資産運用シュミレーション」で計算